2017年12月16日土曜日

背中がきれい?

昨日、Kさんの個人レッスン中に、
「先生は背中がきれいですね」と言われた。

背中がきれい?

最初ピンとこなかったが、話を聞いているうちになんとなく意味がわかってきた。

いわゆる背中がピンと伸びてるというだけでなく
その中にゆるみを感じるということらしい。

言われてみれば、私の背中は硬かった。
もっと遡れば姿勢も悪かった。

子供の頃、小児喘息で、発作が起きた時にその辛さを少しでも和らげるため
丸めた布団の上においかぶさるようにし、そして背中をまるめる。
どうやらこの癖がそのまま残ってしまったようだ。

それが太極拳を始めてから姿勢が良いと人から言われるようになった。
しかし今から思えば最初の頃の姿勢は決して良くなかった。

私が本格的に姿勢を正そうと思ったのは
先輩方の真っすぐな背中を見てからだった。
もう、それだけでスゴイと思った。

デキる先輩は姿勢がいい。
演武がカッコいいだけでなく、推手も圧倒的に強い。

それからだ。
本格的に姿勢矯正に取り組みだしたのは。

これが意外と苦労した。
なぜなら姿勢を正そうとするとどうしても力みが生じてしまうからだ。

肩を上がらないようにするのもそうだった。
今のように自然と肩を落とすことはできず、力を入れて肩を下げていた。
しかし今思えばそれで良かったのだ。

姿勢を良くするためには長年の悪い姿勢を直さなくてはならないわけだから
単にゆるめるだけではそうはならない。

鏡を見ながら格闘の日々が続く。
どうすれば先生や先輩のように姿勢が良くなるのか?

物理的に体のあちこちを突き出したり引っ込めたり・・
あるいは、背中にトンボのような羽がついていて、それを下に下ろしているようにイメージをしてみたり、
或いは背中がどろどろ溶けていくようにイメージしてみたり・・
立禅を行う時は、前を向いたり横を向いたりしていつも姿勢チェックをしていた。

鏡を見ながらの練習をすすめない先生もおられるようだが、
私は絶対鏡を見ることをすすめる。

私は美容の仕事をしていた時、女性にいつもこうアドバイスしていた。
「鏡をみなさい」と。
見たくても見たくなくてもとにかく鏡を見る。
そしてその変化をしっかり観察する。
そして次に大事なことは「変化に気付くこと」
変化に気付くことができればやる気につながる。
やる気になってしまえば、どんどんきれいになっていく。

これは姿勢改善も同じ。
人間嫌なものは見たくないもの。
しかしそこから逃げていたらいつまでたっても改善されることはない。

そしていつまで鏡を見続けたか?
もちろん姿勢が直るまで。
いや、それでもやめなかった。
気を許すとすぐにまた元の悪い姿勢に戻ってしまうからだ。

だから、姿勢が直ってからも、時折チェックすることを欠かさなかった。

それで結果どうなったか?
姿勢が良くなると套路も推手も散手も全て良くなる。
まるっと良くなってしまうのだ。

太極拳と言えば、ゆるめることとかやわらかく動くことをよく言われるが、
真っ先にやらなければならないのは姿勢。
姿勢がすべてを良くしてくれるからだ。

姿勢が良くなってしまえば、あとはゆるめることに専念すればいい。
そうすると背中の真ん中をすぅーっと氣が通るようになる。
今度はその「氣」が背中を自然に真っすぐにしてくれる。

太極拳の始まりはここからなんだ。