2013年8月14日水曜日

双辺太極拳

この太極拳の呼び方にはいつも困る。
元々この太極拳には名前がないからだ。

この太極拳の創始者が、孫式・楊式・武式・陳式太極拳に形意拳、八卦掌等を融合させてつくった太極拳だから、人のつくった太極拳に自分が勝手に名前をつけるわけにはいかないということだったらしい。

要するに元々の太極拳の創始者に敬意を表してという意味だ。
とても立派なことだと思う。

しかし名称がないのはやはり困る。
タイトルには双辺太極拳(そうへんたいきょくけん)と書いたが、他にも九十九式太極拳、正宗太極拳、南京中央国術館式太極拳、或いは単に太極拳などと呼ばれている。

私が最初に習ったところでは、九十九式太極拳とか、単に小架と呼んでいた。

当会でもいずれやる予定だが、どの名称にしようか悩んでいる。
ただ、南京中央国術館式太極拳は長すぎるし、九十九式太極拳というと、他の24式や48式、88式などと同様に捉われそうなので、それは避けたい。
なぜならこの太極拳は数字で呼ばれることの多い太極拳のどれにも属さないからだ。
だから、今のところ双辺太極拳と呼ぼうと思っている。

この太極拳の特徴は、とにかく、脱力して行うところだ。
肩や肘だけでなく、手首も力を抜く。
従って、手はだらりと垂れるようなスタイルになる。

手が下に降りる時は、ぶら~んと垂れさがるような感じだ。
とにかく放鬆(ほうしょう)の域を超えた放鬆だ。
まさに丹田だけで動くという感じ。

因みに歩形は形意拳や八卦掌の三体式の形になる。
体重移動はほとんどない。
突っ立って演武しているように見えるが、実はそうではないんだが。

見た目は決して美しいというものではなく、限りなく無駄な力を抜き去り、溶け始めたソフトクリームのように、とろとろ溶けながら動くという感じだ。

私はこの双辺太極拳を今までに散々やってきたから、どうしてもこの癖が出ることがある。
別の流派の武術を習う時にその癖をうっかり出してしまうと、すぐに指摘される。
他の流派では決して溶けるような動きはないからだ。
(あえて言えば酔拳があるが・・)

しかし、これだけ個性的な太極拳もなかなかないのではなかろうか?

サークルでは楊式太極拳でまず足腰を鍛えながら肩や肘の力の抜き方を覚え、
その後この双辺太極拳で究極の放鬆を体験してもらおうと思っている。

トロけるような感覚と掌に感じる気は更に強く、
ゆらゆら動きながら恍惚感(或いはトランス感)を味わえる太極拳だと思う。