2018年9月14日金曜日

切らない割らない

冬の検定に向け個別に指導を始めているが、
その度に伝えているのが
「切らない」「割らない」

太極拳をまだよく理解できていない初心者は
定式が終わりだと思ってしまう。

それならば套路として繋ぐ必要がなくなる。
なぜ繋がっているのだろう?
私はこのことをずっと考え、研究してきた。

ここで頭を切り替えてみる。
定式は過渡式であり、過渡式が定式と。

因みに「定式」とは型の練習でよく指導される、技が終わった部分とされているところ。
「過渡式」は定式と定式の間の部分。
制定拳では過渡式のことを「通過動作」などと表現される。

しかし太極拳の技に終わりはない。
それに通過動作もない。
実は通過動作と思っているところに太極拳ならではの秘技が隠されている。

逆を言えば過渡式がなければ太極拳にはならない。

この辺のことを言葉にするのは難しいので、
当会の稽古で学んで頂きたいと思う。

いずれも太極拳で套路を練る時は決して切ってはならない。
切ること、即ち相手に隙を与えることになる。
常に動いているから隙がなくなる。

川の流れのように連綿と動く。


次に割らないということ。
これは足運びをする時に、ドスンと足を落とさないということ。
太極拳の歩法はドスンドスン歩くのではなく、
肩の位置を変えず音も立てず静かに歩く。

これには二つの理由がある。

ひとつは相手に動きを読まれないようにすること。
もうひとつは静かに足を置くことで普段鍛えにくい筋肉を鍛えることができるということ。

普段歩いている時に、物音を立てずに歩こうなどとするだろうか?
赤ちゃんが寝ているそばを歩くときとか、
試験に遅刻して静かに教室に入る時とか、
そんなもんではなかろうか?

いずれもこの歩法によって、強靭な足腰をつくることができる。
だから、薄氷の上を歩くように、
そして割らないように歩く。

当会の検定では姿勢と歩型、そしてこの2つをみていく。

切らないことを相連不断(そうれんふだん)といい、
割らないことを出歩如猫(しゅっぽじょびょう)という。

切らない
割らない

これを意識して動くと太極拳の功夫(実力)は格段に上がる。