2018年2月17日土曜日

上げない、飛ばす

私は2年だけ制定拳を習っていた経験がある。

その時は、低い姿勢や脚を高くあげるためのストレッチや筋トレなどのトレーニングを強いられた。
伝統で育った私にとっては最初かなりの違和感を覚えたが、郷に入ったならば従うしかない。
正直辛かった。

いずれも、なぜそこまで低い姿勢をとる必要があるのか?
相手の上段突きや蹴りをかわすのであれば少しだけかがんだり頭を下げれば済んでしまう。

また、若くて俊敏な動きができるのならいいが、
中年になってから始めた太極拳。
とても若者のようにキビキビなんて動けない。
その分、低い姿勢から今度は立ち上がる時に時間を要するのでその間に相手に隙を与えることにもなる。
武術的には致命的だと私は考える。

また、足を高く上げることに関しても意味がわからない。
舞踊や体操競技として太極拳をするのなら高く脚を上げた方が見栄えが良いし、見ている者を楽しませることもできるだろう。
それはそれでいいと思う。

しかし、分脚や踵脚、更には端脚、採脚、膝打、擺蓮脚・・
どれも脚だけで攻撃するのではない。
太極拳の蹴り技というのは空手のような蹴り一本の技ではないのだ。

手と脚の両方を使い、
手は捌く、掴む、打つ、突く、絞める
脚は膝で打つ、脚で蹴る、脚をひっかける、膝裏を蹴り下ろす・・
これらの技を複合的に組み合わせ一つの技となる。

蹴り技は脚を上げるのではない。
飛ばすのだ。

蹴り技といえば、
空手、キックボクシング、ムエタイ、テコンドーなどいろいろあるが、
脚を上げるとは言わない。

師匠も、蹴り技の時に脚を上げるとは仰らない。
飛ばすと仰る。

私も飛ばせる蹴りができるようになりたい。