2021年1月30日土曜日

心が周りを変える

2008年
経済破綻で東京から実家へ。

当時、営んでいた海外事業はとても順調だった。
しかしそれに危機を感じた某国内会社から圧力を掛けられ破綻へと追い込まれた。
28年間の東京暮らしが終わった。

東京での28年間は、数多くのことを学ぶことが出来、私を大きく変えてくれた。
そして何より、太極拳と出会えた。
ここから私の第3の人生が始まる。

私は実家の小さな屋根裏部屋に籠り、残された僅かな方法で負債を全て返済。
そして貯えを作った。

お金だけではない。
体力を落とさないよう毎日ウォーキングと太極拳を行った。

実家での2年間、
居間でも、
家の前の道路でも、
近くの公園でも
近くの学校のグラウンドでも、
所構わず練習した。

毎日2~3時間練習し、記録をつけた。

なぜそれほど練習に打ち込んだかは
東京の恩師に教わった太極拳が忘れられなかったから。

いつか再開する時、
変わった自分を見て欲しい一心で毎日稽古に励んだ。

居間でも練習したが、その時は家族に煙たがられた。
しかしどうしても体が勝手に動いてしまう。

その後状況は変わった。
家族からの目は熱心だなに変わった。
道路で練習している時も家の窓から私の練習姿を見る母。
応援してくれなくとも、そうして遠くから見てくれるだけでも励みになった。

それから5年後、
奈良に今の太極拳教室である春日伝統太極拳を立ち上げた。
陽式太極拳を仲間と共にやる夢を叶えた。
初日は嬉しさのあまり興奮し、朝まで眠れなかった。
7年間閉じ込められ続けた思いがようやく開花した日だった。

***

家族の目があって練習が出来ないと言う話をよく聞く。
おそらく鬱陶しがられることを気にしているからではないだろうか。
私の場合は家族への遠慮よりもやりたい気持ちを止める方が難しかった。
それほど私にとって太極拳の存在は大きかった。

もし本当に鬱陶と思われたのだとしたら、
それは途中でやめるからではないだろうか。

人というのは何か新しいことをしようとすると応援どころか足を引っ張ろうとする。
なぜなら自分を超えて欲しくないから。

だから応援してくれる人を大切にしないといけないと思う。
本当に相手のことを考えてくれているのだから。

もし家族に煙たがられたら、それは自分が成長するということ。
周りに鬱陶しいと思われるのは途中でやめてしまうから。

熱心に変われば反対していた家族だっていずれきっと遠くから応援してくれる。
少なくとも私はそれで夢を叶えた。

そしてこれからも常に新しいことに挑戦し続けます。


最後まで読んでくださりありがとうございました。



2021年1月16日土曜日

「出来ない」から「出来る」へ

たまに稽古中に落ち込む人を見かけます。

ここで考えたいです。

落ち込む理由はなんでしょう?

もしかしたら教わったことがすぐにできないからではないでしょうか?

今までも何度か伝えてきましたが・・

太極拳では(ごく簡単なことを除いては)今出来ないことはすぐにも出来ないのです。

私自身、今出来ないことに対し落ち込んだことは一度もありません。
今まで教えてくださった先生方からも今すぐできるようになりなさいと指導されたこともありません。

太極拳の先生は知っているのです。
今すぐできないことを。

太極十年不出門という言葉がありますが、太極拳を修得するには10年掛かるという意味です。
ただ、この言葉には誤解が生じるかもしれません。

10年やれば太極拳が修得できるわけではありません。

この10年とは、今やっていることに対しての10年です。
いわゆる、今から10年後の未来に伏線を張る作業をしているのです。

今出来ないことに対し落ち込むのは今日限りにしましょう。
上達の妨げになるだけです。

そうではなく出来るようになっている10年後の自分を今から喜ぶんです。
少なくとも私はそうしています。

稽古中に落ち込んだりイライラしたことは一度もありません。
今出来ないことはすぐにはできないからです。

出来ないことがあったらこう考えています。

「どうすれば出来るようになるだろう?」

これだけです。

私がしかめっ面しながら稽古しているのを見たことがある人はいないと思います。
いつも楽しみながら稽古しています。
落ち込むことなど何もないからです。

「出来ない」から「出来る」へ伏線を張る。
そして、そのプロセスを楽しむ。

それだけです。

心から太極拳を楽しみましょう。