2022年9月28日水曜日

円の秘密

楊式太極刀と楊式太極剣

どちらも意識して欲しいのは
「円の動きになってるか?」ということです。

紙に鉛筆で円を描いてみてください。
力が入っているとうまく描けません。
きれいな円を描こうとするなら、鉛筆を短く持たず少し長めに持ちます。
すると力を入れることが出来ないのできれいな円を描くことができます。

刀や剣でも同じです。
指、手首、肘、肩に力を入れないこと。
どうやって円を描くか?

腕ではなく腹で描きます。

いわゆる体全身で動くということです。

ところで、
なぜ円の動きが大切なのか?

それは「武」を意識すればわかります。
刀も剣も腕を使って振り回すものではありません。
どちらも刃物なのです。

突こうと相手に刃を向ければ、逆に自分の手首を切り落されるかもしれません。

だから太極刀や太極剣は円の動きなのです。
円で捌き、円で斬る。

その動きはとても優雅で美しいですが、
同時にとても恐ろしく残酷なものでもあります。

これが太極拳なのです。







2022年9月23日金曜日

片足立ちは特別ではない

「先生は片足でどれぐらい立ってられますか?」

先日会員さんからこんなことを聞かれました。

私は「さあ、考えたこともない」と答えました。

それもそのはず、
私にとって片足で立つことは特別なことでもなんでもなく、ごく日常的なものだからです。

とはいえ、気になったのでやってみました。
踵脚の状態でやってみたらひとまず1分は出来ました。

片足の状態で軸足を曲げ、蹴り上げている足を後ろに回すことも出来ます。
大きく飛び上がり片足で着地することも出来ます。

しかし、これが特別なことだとは思いません。

日頃から毎日武術の鍛錬をしていれば自然に身に付くもので、大きな勁を出すためにはこれぐらいの軸感覚と放鬆が必要だと考えるからです。

とはいえこれを目的に練習するのはよくないと思います。
私の経験から言わせて頂くと確実に勁力が落ちます。

同じことをやとうとしても何を目的とするかで身につくものが大きく違ってくるということです。

勁力は年齢に関係なく無限に強くすることができます。

病気しない、怪我しない強靭な体をつくるためにも、
武を意識しならが毎日站椿功を実践し、套路をゆっくり練ることを強くおすすめします。

#太極拳 #勁力 #軸感覚 #放鬆



2022年9月20日火曜日

太極拳で最も難しいこと

昨夜の午前クラスは男子のみだったので
推手と散手で勁の使い方を少しレクチャーしました。

相手がどんなに強い力で打って来ようが、猛スピードで打ってこようが、
右へ左へといなしてしまいます。
その中に自分の意思はありません。
まるで風見鶏のように風の向きに合わせてくるくる回るだけ。

ところで、太極拳がなぜ柔拳と呼ばれるのでしょう?

言葉では「柔」と発しておきながら、いざ相手に突きを出されるとついつい剛拳になってしまう。
誰かに思いっきり殴りかかれたら身構えてしまいますよね?
本能なんです。
だから柔わらかい力を使うためにはそれなりのトレーニングが必要です。

しかも柔拳になるために必要なことはテクニックだけではありません。
一番難しいのは「心」です。

「技術1:心9」といった比率でしょうか。

人生で一番難しいことはなんでしょう?

優しくなることでしょうか?
恐れないことでしょうか?

どれも大事ですが、
私が一番難しいと思うのは「許す」ことだと思います。

一旦相手に敵意、憎しみ、恨みを持つと、
それをなかなか許すことが出来なくなってしまいます。
「許す」ということが私は一番難しいと思いますし、
私も人生においてしばしばこれで苦労します。

しかし太極拳で相手から身を守るにはこの「許す」ことが一番大事なのです。

「許す」はやわらかいです。
「許す」には愛があります。
「許す」には友好的な気持ちがあります。

相手の攻撃を許す。
それを受け入れる。
それを返す。

いたずら電話撃退法でありましたよね?
自分の声を本人に返す。

それによって本人が自分の失態を知りそれ以上やろうと思わなくなります。

私が考える太極拳はこんな感じです。

太極拳の技は残酷なものが多いです。
しかしその中には愛があると信じます。

だから私は数ある武術の中かから太極拳を選びました。




2022年9月19日月曜日

聴く

本日自由練習会でした。
参加者は2人。
Y子さんは12月の試験のために弱点克服のための練習、
T子さんは先日楊式刀デビューしたばかりで刀の基本功をひたすら練習しました。

自由練習会の良さは指導と自習時間のバランスがとれていること。
足りない部分を克服するため、短期間で修得するにはとても良い機会です。

話は変わりますが、
太極拳で大事なのは力を出すことより力を抜くことです。

相手を何メートルも吹っ飛ばすことの出来る発勁に憧れると思いますが、
あれは力で飛ばしているのでありません。
呼吸とタイミングなのです。

そのタイミングを知るためにも脱力は絶対必要です。
力が入っていてはその情報を得ることが出来ません。
バッターがホームランを打てるのは力があるからだけではありません。
球をよく見てジャストミートしているからです。

発勁で人を吹っ飛ばすのも同じです。
ジャストミートしなければ絶対に飛びません。
そのために「聴く」「溶かす」「捕える」「発する」することが大事です。

発勁は力を出そうとして出来るものではありません。
無の状態で発する力です。

いずれもまずは聴くこと。
相手の情報が必要なのです。

お喋りな人はこの感覚をなかなか身につけることが出来ません。
人の話を最後まで聞きましょう。
人の話を聞かずにどうやって相手の情報を知ることが出来るでしょう。
自分の情報を相手に与えても仕方ありません。
知ることが大事なのです。

太極拳の練習は道場に来て稽古するだけではありません。
自分を変えていくことから始めることが大事です。

変わらないというのは嘘です。
それは単に変わろうと努力していないだけです。
変わろうと思えば1秒でも変わることが出来ます。