2017年10月21日土曜日

腹から動く

ある先生から太極拳は腹から動くと教わった。

「腹から動く??」
その時は意味が解らなかった。

そもそも腹から動こうとして動けるものではない。

腹から動こうとしている間は腹から動けなかったが
それでもそれに近づきたい一心で毎日練習に励んだ。
腹から動くなんてなんだかカッコいい。

練習に練習を重ねそれが次第に自信に変わっていった。
その時、腹から動くことなど意識していないのに、
いつしか腹から動くようになっていた。

といっても楊式太極拳なので、
陳式太極拳のように明らかに腹から揺すって動くような動きではない。

どう見えるのかと言うと、体の隅々まで気が行きわたっており、
尚且つ、それがオーラとなって見えてくる。
この部分をエーテル体というらしい。

エーテル体とは気の体であり、気で出来たベールのようなもの。
師曰く10センチぐらいの厚みがあるのだそう。

実際、師に自分の脚を蹴るように言われ、思いっきり蹴ってみた。
ビクともしなかった。
その脚は金属のように硬く、ゴムのような弾力があった。
この脚で蹴っても蹴られても痛い。
なにしろその脚は金属なのだから。

話が反れないうちに戻すことにする。

結果的に腹から動くには練習しかないということ。

何年も練習を重ねていると実力と共に自信もついてくる。
そうすると気が沈んでくる。
気が沈んだ状態の時、頭は空になっている。
この状態が腹から動くということ。

スピードトレーニング的なことはないにしても
ちょっとしたコツはある。

肩の力を抜こうとするのではなく、意識を仙骨に持って行ってみる。
或いは会陰(股間の中心部)に持って行ってみる。
それでもまだ足りないと感じるなら足裏まで意識を落とせばいい。

肩の力を抜こうすること自体がすでに気が上がっている状態。
気は意識したところに集まる性質があるからだ。(これを意気相連という)

だから、抜きたいところではなく
重くしたいところに意識を向ければいい。

あと、もう一つは練習を楽しむこと。
楽しいという気持ちは丹田で感じるもの。
中途半端な練習ではなく気持ちよくなるまでやってみる。

あれやこれやごちゃごちゃ考え事しながら練習しない。
やることを決めてそれに没頭する。
本来、太極拳にインターバルは必要ない。
太極拳そのものがインターバルのようなものだから。

いずれも続けて練習していると
ランナーズハイに似たような現象が套路や推手などで起きてくる。

ハイな状態は腹に気が沈んでる状態だから
結果、腹から動いているということになる。