太極拳で大事なこと。
弛める~開く~繋ぐ~通す
このことをどれだけの人が意識出来ているでしょうか?
私としては動作を覚えた会員さんが少しでも早く次のステップに上がれるよう、毎回のように伝えることなのですが、
実際にそれが伝わっているかどうかは微妙です。
動作を見る限り、どうやらこれらの感覚を身につけるにはある程度時間が掛かりそうです。
本を読んでいて難しい言葉がたくさん出てくると、文字だけ追って全く頭に入らないことがありますが、
言葉の雨を降らすだけでは結局何も伝わらないのと同じです。
だから、指導する時は専門用語を出来るだけ省き、可能な限り日常生活で使う言葉を使うようにしています。
さて、結果はどうでしょう?
人は目の前に出された多くの料理に対し、嫌いな物を避け、好きなものだけにかぶりつこうとしますが、太極拳でも全く同じことが起きます。
流派や型の問題ではありません。
必要だと思って説明しても、好きな言葉だけが耳の鼓膜を通過し、そうでないものは跳ね返してしまいます。
もしかしたら言葉は必要ないのかもしれません。
指導してきてわかったことは、
套路を覚える速さと感覚を掴む速さは比例しないことです。
暗記や計算が得意な人もいれば、それが苦手な人もいます。
逆にそれらが苦手でも、音楽を聴いたり、絵を描いたりするのが好きな人もいます。
いずれもひとつのことを修得しようと思うなら、スポンジのように頭も体もやわらかくすることです。
自分の頭の中だけで学ぼうとしたり、暗記力だけに頼ろうとすると遅れをとるだけです。
禅では「無」になることを求められますが、「捉われ」から自分を解放し、無の状態になることは、先ほども言いましたようにスポンジのようになることです。
形はあるのですが、中身はスカスカです。
たっぷり水を含ませることが出来ます。
その「水」は太極拳に必要な知識、感覚、パワーです。
冒頭で、「弛める~開く~繋ぐ~通す」と説明しましたが、
太極拳で勁(チカラ)を出すことが出来るようになることと、太極拳を学ぶことは同じことのように思えます。
まずは太極拳を楽しみましょう。