2024年5月29日水曜日

最大の敵は「依存」

やさしい先生だからこそ頑張ろう。

(ここで言う「先生」とは師であり指導員のことです)

厳しく叱ったりすることがなくとも、
先生によって表現は様々
生徒に上達して欲しい気持ちはどの先生も同じです。

決して出来ているから叱らないのではありません。
特に初心者(最初の1年)は「出来ていなくて当たり前」と思って取り組んで欲しいです。

太極拳はすぐには仕上がりません。
套路の順番を覚えたことは太極拳を覚えたことにはなりません。
順番を覚えてからがようやく太極拳の始まりです。

順番を覚えたことは英語でいうアルファベットを覚えた程度のレベルだと思ってください。
まだ英語は喋れないのです。

太極拳をそれなりに習得するには月まで歩いて行くぐらいの時間が掛かると思ってください。
月まで徒歩で約10年掛かります。

順番を覚えた後にすべきことは山ほどあります。
太極拳の修行おいては一生学びがあります。
どんなにやっても飽きることがなくいくらでも楽しさがあります。

先生がやさしいからと甘えてはいけません。

厳しい先生は本気で上達して欲しいという気持ちが素直に出ているのです。
優しい先生も本気で上達して欲しいという気持ちは変わらず、
厳しい先生に比べ辛抱強く耐えている(見守っている)のだと思ってください。
出来ているからやさしいのではありません。

やさしくとも指導されていることを一言も聞き逃してはいけません。
自分の勝手な解釈で出来ていると勘違いし先へ先へ進もうとしないことです。

今、先生に言われたことを直すために
その部分を何度も何度も徹底的に繰り返しましょう。
出来るようになればきっと先生は認めてくれるでしょうし、
褒めてもくれるでしょう。

いわば、褒められないのは叱られているのと同じことだと思ってください。

私が最初に出会った先生はやさしい先生でした。
一度も叱られたことはりません。
しかしそれに甘えることはありませんでした。

やさしい先生だからこそ
「先生に同じことを言わせない」
「先生に教わったことを出来るようにしよう」
「先生の期待に応えたい」
「先生に認められたい」
「教えてもらった感謝の気持ちを結果で返したい」

そんな気持ちで取り組みました。

結果、私は半年で楊式太極拳を覚えました。
周りの先輩達に驚かれました。

自分を一番ダメにするのは「依存」です。
「甘え」は成長を止めます。

自分で自分の尻を叩き、先生の期待に応えるべく努力すれば、
それが先生にとって一番嬉しいことなのです。

私は、希望であればどれほどでも厳しく指導出来ます。
学生時代は鬼教師による精神教育で学問や道徳、礼儀を叩き込まれました。

もし本気で上達したかったら遠慮なく言って下さい。
厳しく指導します。
落ち込んでも泣いても容赦しません。

その代わり上達することは保証します。

どちらがいいかは自分で決めて下さい。


2020年4月9日撮影

2024年5月26日日曜日

2時間と10年は同じ

かつて出会ったある老師が次のように仰いました。

「初日に習った2時間と10年は変わらない」

その時はピンとこなかったですが、時間が経つにつれこの言葉の意味がとてもよく解るようになりました。

当会では最初に姿勢、脱力法、歩形、歩法、套路、推手、散手を90分の稽古で学びます。
そして10年経っても私は同じことを教えるでしょう。
初日に教えることと10年後に教えることはなにも変わらないのです。

何年やっても何十年やっても基本は不動です。
そしてその上に様々な技術や勁を学び感覚を身に付けていきます。

因みに私は一度しか合ったことのない師から教わったこともそのほとんどを覚えています。
覚えたいという意欲がありましたし、
「忘れてはならない」と思いその後しっかりメモをとりましたから。

その教えは10年経っても20年経ってもずっと私の中で生きています。

何が言いたいかというと、
「今」を大事にして欲しいということです。

「そのうちできるようになるだろう」
と漫然と練習をしていても上達することはありません。

大事なことは教わった基本をしっかり頭に叩き込んでそれを実践しようとする意欲です。

師は必ず重要なことを教えてくれます。
それを聞き逃してはいけまぜん。

仮にその時に解らなくとも解らないなりにメモに取っておけば、いずれ解る日がきます。
そして解った時、それが大変貴重な宝物であることに気づきます。

せっかく貴重な時間を割いて稽古に参加しているのですから、
わずか90分集中することで一生ものになる技を身に付けることも出来るのです。

もちろん体を動かしたいということで参加するものいいでしょう。

しかし、上を目指すなら、
だらだらしたり、ぼんやりしながらやるのではなく、
しっかり意識を高めましょう。

そうすれば90分の稽古が自分にとって生涯の財産になるでしょう。



2024年5月1日水曜日

太極拳は足

本日、初級クラス、個人レッスン3つ無事終わりました。

今日感じたことは、歩法の重要性です。
「太極拳は足」と言われますが、長く太極拳をやっていると本当にそう思います。

実際に発勁する時、手で押そうとしますが、これでは十分な力は出せません。

発勁は天地と調和した状態から一気に足裏から接触点までの圧を高める感じになると思いますが、その時に重要になるのが「足」です。
なので、単に足を前にストンと置いて体重を載せるだけではダメなのです。

歩法はきれいに歩くためではありません。
十分なパワーを引き出すために重要な要素です。

このような正しい歩法を身に付けると足腰が驚くほど鍛えられ、ちょっとやそっとではコケない体を作ることが出来ます。
老後に向け是非身に付けたい力です。

もうひとつは勁力の波です。

勁力というのは考えて出せる力ではなく逆に考えないで出せる力です。
だから考えてひょいと引き出せる力ではありません。
故にその感覚を体で覚えるしかないのです。

「パワーが出ない」
「パワーを出そう」
「今日は調子が出ない」
どれも雑念です。

こんなふうに雑念が沸くと力が分散してしまいます。
力を集めるには、何も考えないことです。
欲を出さないこと。
頭も体も空っぽにすれば、「何か」が体に中に入ってきて、そして出て行きます。

因みに「空っぽにしよう」とも考えてはいけません。
難しいですね。

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