誰も信じてくれないのだが、私は人前で話をするのが苦手。
伝えたいことはたくさんあるはずなのに、人前に出るとどうにもうまく言葉が出てこない。
人と目を合わせるのが恐く、うまく話せずついつい噛んでしまう。
私がこんなふうになってしまったのには理由がある。
IT革命が起きた1999年
当時私は毎日100人以上の人と接し、
大勢の前で講演したり、
スピーチしたり、
司会を務めたこともある。
場を和ませたり盛り上げるための言葉が果てしなく湧いてきて、
どうにも止まらないほどだった。
今思えばあれは私ではなかったような気がする。
何か強大なエネルギーの塊のようなものが私の中に入ってきて、
そのエネルギーがそうさせていたような感覚だった。
辛いことから逃げ出すのではなく、どんなに辛く悲しくともめげずに立ち向かって行けば、人間、自分を超えた能力を発揮できるようになる。
そのことは当時とても実感した。
しかし、私をこんなふうに変えてしまったのは、良くも悪くもIT革命。
私はITによって地球環境を変えようと決め、まず最初に行った行動が、家から出ないこと。
理由は家から出ると無駄なお金を消費し、しかも移動のために車や電車を使うと公害を発する。
それを抑えるために私は家から出ないと決めた。
そして私は家から一歩も出ずしてかつての2倍の収入、いや1か月で100万円近く稼いだこともある。
今もYouTubuなどでそのような収入を得ている人がいるようだが、私は18年前にそれを経験していた。
確かに私は無駄を一切省き地球環境に貢献したし、十分な収入を得た。
灰色だった空と海がかつての青さを取り戻し、自然を取り戻した。
皆、戦後から20年前までの日本がどのようなものだったか覚えているだろうか?
今は中国の公害がよくとりあげられるが、当時は日本がそうで、公害大国ニッポンと呼ばれたほどだった。
海も川も空も汚染され酷いものだった。
当時私のしたことは微々たることだったのかもしれないが
少なくとも私は2万人の組織でITを促進させるリーダーとして活動した。
しかし、それと引き換えに私は心の病にかかってしまった。
家から出ないということは人と合わないということ。
かつて毎日多くの人と接し輝いていた自分はその光を失い暗闇の世界へ。
街で合う人すべてに笑顔で声をかけることが出来たのに、それが目も合わせられないほどに。
そして次第に人を避けるようになっていった。
体力はどんどん衰え、毎日起こるとてつもない頭痛。
腰痛肩こりも酷く、外に出ると5分も歩けない程体力が衰えていた。
さすがに危機感を感じた私は心の向くまま近くの図書館へ。
そこで目についた本をぱらぱらっとめくってはっとさせられる一文が目に飛び込んだ。
「心と体は繋がっている」というような一節だった。
私は部屋に引きこもり体を動かさなくなってしまったから心も失ってしまったのだと気づいた。
その足で私は近くの公民館へ。
なにか体を動かすことをしなければと。
そこで目に入ったのが太極拳サークルのポスター。
これが私が太極拳を始めるきっかけになった。
サークルの人達は温かい人ばかりだった。
先生もやさしい方だった。
そして今教わったばかりなのに、起勢から先をどうしても思い出せずひとりもがいていた自分がいた。
それから約15年
今は約70人の会員を指導するサークルの代表になり毎日指導を行っている。
確かに私は15年前の自分から比べると変わった。
しかし、まだかつての自分を取り戻していない。
とにかく、恐れず怖がらず皆の前に立って指導しようと。
かなり良くはなってきているが、まだ完全でなはい。
だから鬱病を完全に克服できるかどうかは私にとってのテーマ。
いや、もしかしたら鬱病ではなくかつての自分とのギャップに苦しんでいるだけなのかもしれない。
いずれももう一度あの光を取り戻したい。
そのために修行あるのみだと思う。