今までにも何度かとりあげたが、
私は太極拳で神秘体験を経験している。
しかし、それをやろうとしてもできないし、
いまだにそれを再現できないでいる。
あの時は、仲間と延々とある公園で推手をしていた。
すると雨が降って来て「今日はもうやめにしようか?」と話していた。
しかし、気持ちは帰る気になれない。
まだまだやり足りなかった。
あちこち歩きまわり雨を凌ぎながら練習できる場所を探した。
散々歩き回ってみつけたところは屋根のある小さな休憩所。
そこを見つけたとたん、雨の降りが更に激しくなる。
しかし辞める気にはならない。
また仲間と推手を再開。
すると、しばらくして不思議な現象が起きた。
豪雨の中での推手で、何かが起きた。
体の中がスーッと光が入ってきて、自分の身体がまるで光の塊のようになった。
そして、体は氣(のようなもの)で満たされ体中が張り詰めた状態。
小さな針穴でもあければ、そこから勢いよく氣が飛び出すような感じだった。
頭の中は空だった。
まったく雑念のない状態。
寝ているようで起きてるような。
これが無の境地なんだろうかと思った。
そして私はどう変わったか?
相手の動きが見える。
いや、正確に言えば目で見えるのではなく、
相手の心がすべて読めてしまう。
いつ、来るか正確にわかり、そして体が勝手にそれを右へ左へといなしてくれる。
とにかくなんとも言えない程気持ちが良かった。
それは推手で相手の攻撃をいなせたことではなく、
その時の心の状態に。
恐れも、不安もなにもない幸福感だけの世界。
私の目標はそこへ辿り着こうとすることではない。
そこへ戻ること。
なぜ、あのような体験が出来たのか?
もし、あのまま雨が降ってきたという理由で帰っていれば経験できなかったこと。
恐らく、その後経験できないのは、
あともう少しのところでやめてしまうからだと思った。
神が力を与えて下さるのは努力に対するご褒美。
YouTubeや本ばかり読んでいても神は力を与えてくださらないだろう。
テクニックばかり追いかけ、仮に技術だけ身についても、
神技と言われる領域に行きつくことはないだろう。
なぜなら私が神秘体験をしたのは
豪雨の中一心に稽古に身を投じている時。
修行なくして道を極めることはできないと思った。