2021年4月29日木曜日

道場を出した理由

昨夜、稽古前に弟子達の前で話したことです。
「なぜ道場を出したのか?」ということです。

去年の3月道場を開設した時、仲間達はとても喜んでくれ心から祝ってもくれました。
とても嬉しかったし、今でもその気持ちを大切にしています。

とは言え、誰もが道場を出すことを歓迎してくれたわけではありません。

強い向かい風も吹きました。
道場を出すことに限ったことではありませんが、新しいことをはじめると必ず起きることです。

その向かい風は1度ではありませんでした。
その後すぐに緊急事態宣言が発令されたことによる打撃が2度目。
そして和歌山道場を出したとたんに発令された3度目の緊急事態宣言による打撃。

「これでもか!これでもか!」
と、まるで叩きのめされているようで、今にも崩壊しそうな心をギリギリの精神で保ちながら毎日笑顔で指導しています。

私のすべきことは道場経営だけではありません。
指導者としてより多く腕を磨かねばなりません。

逆を言えば正しい太極拳を伝えられる指導者がいない道場は、単なる空っぽの空間に過ぎません。
そこに命を吹き込めるかどうかは、自分に掛かっていると大きな責任を感じました。

この時、なぜこのタイミングで緊急事態宣言による打撃を受けなければならないのかという理由に辿りつきました。

それは、
「道場を磨くだけではなく、自分自身を磨きなさい」という意味だと受け止めました。


ここで「なぜ道場を出したのか?」ということを振り返ってみたいと思います。

まず一番の理由は「夢」だったからです。

道場を持つ夢は自分の欲求を満たすためだけではありません。
仲間と喜びを共有できる場所を築きたいという願いからです。

それまでは公共施設や野外などが稽古場でした。
公共施設は格安な料金で部屋を借りることが出来るのがメリットですが、メリットだけではありません。

公共施設で不自由さを感じたことをあげてみます。

  • 濁った空気を浄化するのにパワーを使う。
  • 時間の制約がある。(もうちょっとやりたいが出来ない)
  • 毎回必要な道具を持っていかねばならない。
  • 瞑想しやすい照明ではない。
  • 冷暖房を好みに設定できない。
  • 空気清浄機がない。
  • 加湿器がない。
  • 他の団体の使用後、汗と香水臭が強いことがある。
  • 床に泥などの汚れが目立つことがある。
  • 入替え時間を全く守らない団体がある。
  • 関係のない人が稽古中に扉を開け平気な態度をとられることがある。
  • 閉館時間前であるにも関わらず関係者に追い出されることがある。
  • 真夏日、体育館利用時間中に閉館準備のため窓を締められてしまうことがある。
等々。

これらはデメリットというより、体を浄化し体内にパワーを取り込むための環境とは言い難いというのが正しい見方でしょうか。

では道場のメリットはなんでしょう。

  • 靴を脱いだらすぐに練習できる(履きかえる必要がない)
  • 他の団体との干渉がないのでトラブル等で気が削がれることがない。
  • 常に気功や太極拳に適した環境づくりができる。
  • 好みの空気環境がつくれる。
  • 照明が調整出来るので深い瞑想に入ることができる。
  • 室内をきれいに保つことができる。
  • 時間の制約がないのでそのことに気が削がれることがない。
  • 飲食できるので仲間同士の交流の場としても利用できる。
  • 神棚を祀ることができる。

道場とは私達に与えられた神聖な場所であり私達が独占できるパワースポットでもあります。
誰にも邪魔されることはありません。

そのような環境に与えてくださったことに感謝の気持ちを込め、稽古後会員の皆さんが帰った後、毎日神棚に祝詞を唱えています。

体を動かす運動程度なら公共施設でも良いと思います。
しかし当会が目指すのはそれだけではありません。
道場でなければ得られないことはたくさんあります。

私がこの地で太極拳をはじめたのは、共に伝統太極拳ができる仲間が欲しかったからです。
そして私が得た健康を一人でも多くの人と分かち合いたいと思ったからです。

自分の身を削ってでも私が道場に拘る理由を少しでも解って頂けたなら幸いです。

ここまで読んでくださりありがとうございました。