2023年3月23日木曜日

発勁力の開発

昨日の武術班では、
纏絲勁(てんしけい)
螺絲勁(らしけい)
抽絲勁(ちゅうしけい)

これらの違いをレクチャーしました。

これらを説明するのにどれだけ言葉を並べても理解するのは不可能でしょう。
実際に体験してみるしかありません。

流派によって解釈が異なると思うので、あくまでも私が学んだ理論となります。

纏絲勁(てんしけい)は相手の力を無力化する力。
螺絲勁(らしけい)は螺旋の動きによって発勁を増大させる力。
螺絲勁(ちゅうしけい)は丹田と気のパワーを用いた螺旋の力。

M子さんの腹に触れた状態から気を打ち込みます。
触れた状態で打つことを暗勁(あんけい)と呼びます。
打たれたM子さんはその場で蹲り
腹だけでなく胸から下腹部に至る広範囲にその衝撃を感じたようです。

Uさんには思いっきり腹筋に力を入れてもらいました。
まず拳を腹に触れた状態で気を打ち込みます。
その瞬間体が後ろへ崩れ、それ相応の衝撃を感じたようです。

しかし腹筋に力を入れた状態であればより効果的な方法があります。
それが寸勁です。
一寸(約3センチ)の位置から打ち込みます。
どれほど腹筋に力を入れてもこの勁は腹を貫通しその衝撃は背中まで伝わります。

Uさんの体は大きく崩れ、
そのまま蹲りしばらく立てなくなってしまいました。

寸勁を打つ時は十分力を加減しなくてはいけません。
想像上ではいくらでもパワーが出せる感覚があるからです。

力は有限ですが、勁は無限だからです。

決して拳を振り被ることなく、
力を入れることなく、
瞬間的に目に見えない力に突き動かされ砲弾の如く拳が発射されます。

なぜこのような打ち方が出来るのか解りません。

それもそのはず、考えて打つのではなく、
膨張した丹田のエネルギーが
一瞬の意識でトリガーが外れ気が発射されるような感じだからです。

「打つ」ではなく「外す」という感覚です。

かなり恐ろしいパンチです。

寸勁、またの名をワンインチパンチとも呼びます。

これら浸透する力を浸透勁(しんとうけい)と呼びます。

とまあ、こんな風に説明してもやっぱりよく解らないと思います。
煙を掴むようなもので、実態がないからです。
結局、実際に体験してみるしかないのです。

因みに私は楊式太極拳で使う抽絲勁を立禅と套路で鍛えました。
寸勁は三体式站椿功と五行拳で鍛えました。(まだまだ未熟ですが)

突きの練習は一度もしたことがありません。
突くために突く練習をせずに、ひたすら立つ練習と歩く練習をしました。

その時に、美しく動こうとか、
きれいに動こうとか、
派手なパフォーマンスをやろうとか、

そのような自意識や他意識等の雑念があると勁力は遠のいていきます。

これは私自身が何度も経験したことで、
他意識(自己顕示欲や承認欲求等)があると確実に勁力が落ちます。

そもそも「無」とは雑念のない状態です。
これらの勁は間違いなく無の状態から発せられます。

太極拳が動禅と呼ばれる所以が解ります。