これまで様々な武術を携わってきたが、結局、毎日練習するのは楊式太極拳だ。
体が欲するという感じだろうか?
どうしてだろう?
はっきりとした理由はわからないが、演武していて一番気持ちがいい。
のびのびとした動きの気持ち良さ。
ゆっくりと動いているのにそよ風を感じる感覚。
体に気が巡る感覚。
空気の中を泳いでいるような感覚。
空気に溶け込んでいくような感覚。
大河の流れのごとく連綿とした動きによって心が「静」へと導かれる感覚。
風になびく柳の枝のように、川の中で泳ぐ藻のように、
なにものにも逆らわない身をゆだねるような感覚。
これらが楊式太極拳にはある。
現代の楊式太極拳は武術的要素が抜かれているという意見もあるが、そんなことは構わない。
武術云々よりも先ほど述べたような感覚を得られるのは私が知る限り楊式ならではだからだ。
それに武術的要素は自分で開発していけばいい。
武術そのものは習うものではなく鍛錬の中から悟るものだと思うから。
いずれも、一人でも多くの人と楊式太極拳の気持ち良さを共有したい。