2018年10月26日金曜日

ピントをぼかす

太極拳がなかなか覚えられず伸び悩んでる人は、
一点にピントを合わせ過ぎているためだと思う。

私が師の動きを見て覚えようとする時、
どこかにピントを合わせることはしない。

なぜならピントを合わすと他の部分がぼけてしまい
結果見なかったことになってしまう。

最近、加齢によって老眼が進み、物を見る力が弱ってきた。
本を読む時や標識などを見る時は苦労するが、いいこともいっぱいある。
ぼけて見えるからこそ発見できることもたくさんある。

最近のデジタルテクノロジーは物凄いスピードで進化しているが
例えば動画の画質がどんどんよくなってきている。
本物よりリアルなのでは?と思うほど。

しかし私はあまり画質に拘らない。
今の画質でも十分だと思うし、
あまりにもリアルに見えてしまうと、見たくないものまで見えてきそうで怖い。

話が脱線しないうちに戻そうと思う。

太極拳を最初に覚える時は、まずはざっくりと覚える。
木彫りと同じで、まずはざっくり削って、その後じっくり彫刻刀で彫って行く。
細かなことはあとでやればいい。

だから、見て覚えようとする時は、
あまり先生の近くに寄らず、少し離れてぼんやりと見る。
こうして見ると、姿勢や全体的な動きが際立って見えてくる。
最初にしっかり学ばないといけない部分だ。

最初はどうしても手ばかり見てしまう。
そうすると手だけしか覚えられず、姿勢や歩型がめちゃくちゃになる。
これはよくない。

手品師はこれを逆手にとって、相手の目を手に惹きつけ、タネが見えないようにする。

太極拳の場合は、そのタネ(基本原理)である姿勢と動きが大事。
これを見るにはピントをぼかすこと。

ぼんやりみて、とにかく真似てみる。
これが一番の上達法だと思う。