2016年9月8日木曜日

まず聞くこと

私は人とコミュニケーションを図る際に必ず質問をします。

体調どうですか?
お仕事どうですか?
ご家族の方は元気ですか?
最近どこか出かけられましたか?

などなど。

何故質問するかというと、
単純に気になるからであり、
その方に関心があるからです。

逆に私の方から自分の話をペラペラ喋ることはありません。
それが相手にどんな影響を及ぼすか少なからずとも経験から学んできたからです。

これと同じように太極拳でもまず聞くことが大事です。
聞かなければ相手のことを知ることはできません。
知ることが出来なければどんな対応をしてよいかわかりません。
どんな対応をしてよいか解らなければ相手に何を与えてよいかもわかりません。

こんなふうに考えると
太極拳の原理は社会人が日常生活でごく一般的に行っていることだということがわかります。

太極拳では相手に勝とうと思ってはいけません。
そもそも負けを知らなければ勝ち方もわかりません。

また、太極拳で相手を打ったとしてもそれは勝つことを意味するわけではありません。
相手の闘争心を沈めることが目的です。
言い換えれば和解を求めているわけです。

私の太極拳の解釈は
「聞く、許す、導く、与える」です。

これを太極拳の用語に置き換えると
「聴勁、走勁、化勁、発勁」です。

相手を知り、
相手の行動を許し、
相手に心の傷を負わせない方向に導き、
最後に相手がもう手を出さなくてもいいように与えます。

相手に心の傷を負わせないとは、相手に打たせないということです。
打たれれば怪我をします。
血が出たり、骨が折れたりするかもしれません。
それで打ったほうは本当に満足するでしょうか。

戦争で生き残った方々のお話を聞くと、
戦争とはいえ同じ人間を殺さなければならなかったことを悔やみ、償いようのない罪の意識を一生持ち続けるのだそうです。
生き残ることが幸せとも限らないということです。


聴勁(ちょうけい)とは相手を知ること。
走勁(そうけい)とは逆らわず許すこと。
化勁(かけい)とは導くこと。
発勁(はっけい)とは与えること。

私はこのように解釈します。

太極拳が平和をもたらしますように。