私が棍を始めた理由はやはり孫悟空だろうか。(笑)
長い棒を自在に操ってる姿はかなり惹かれるものがあった。
私は剣道もしていたことがあるが、
同じ道場の女性が稽古していた薙刀に憧れたりもした。
長い棒をしなやかに操り、それが魅力的に見えた。
短い棒の方が確かに実用的と言えば実用的だ。
カサや杖、ステッキなどがそのまま護身用の武器になる。
しかし棍の歴史は古く、原始時代から狩猟や戦のために使われていたのだそう。
要するに人類が誕生した時から棍は存在するということになる。
そして石器時代になると、棍の先に尖った石を括りつけ槍とした。
確かに獲物を捕らえようと思えば、短い棒より長い棒の方が遠距離操作できる。
こんなことは知識がなくとも、誰でもすぐに思いつきそうなことだ。
いずれも実際、棍を始めてみると想像以上に楽しい。
まずは基本中の基本である劈棍(へきこん)
真っ直ぐに立てた棍を単に打ち下ろすだけ。
この単調な動きを何度も何度も繰り返し行う。
これがすこぶる楽しい。
何度でもやりたくなる。
コツとしては振り下ろした時に棍の先である棍梢(こんしょう)がぶれないようにすること。
ブンと振り下ろしてピタリと止める。
最初はこれがなかなか難しい。
しかし繰り返し練習を行っていると、ピタリと止められるようになる。
他にもいろいろな打ち方があるが、どれも楽しい。
私が行う棍は形意棍。
元々形意拳は棍から生まれた拳法だという説がある。
形意棍を始めてみると、確かに頷けるものがある。
形意拳は内家拳では最強の拳法と言われるが、
それは刀も剣も棍もすべてそうだと思う。
形意拳の歩法と棍の動作が組み合わさって、棍に大きな力が発生する。
決して腕の筋力で生み出した力ではなく、
地球の力を最大限に使う。
形意棍は棍術のような跳躍動作などの派手な動きはない。
至ってシンプル。
しかし、棍梢に伝わる力を感じる時、この形意棍の力強さを実感する。
パワーを感じる瞬間と言おうか。
今度の日曜日に基本棍法練習会なるイベントを行う。
ここではその基本的な動作を繰り返し練習しようと思う。
棍は腕で操作するのではない。
体全身を使う。
棍の練習を行っているとすぐに夢中になれ、ついつい時間が経つのを忘れてしまう。
明らかに太極拳とは違った楽しさがあり、
やり終えた後、妙にスッキリし、ストレスも吹っ飛ぶ。
外の温度は今5度前後。
それでも外で棍の練習をしているといい汗をかく。
実に気持ちいい。