2017年8月28日月曜日

回転には意味がある

当会では套路練習を行う前に必ず気功を行う。
気功は大きく分けて四つ。

払う、集める、練る、発する。

「払う」は邪気を払う。
一見ごく普通の体操のように見えるかもしれないけど
体を緩めているだけではなく邪気を払っている。
コップを空にしなければ新しい水は入れられない。
従ってコップにたまった汚い水(邪気)を払うことから始める。

「集める」はパワーを集める。
どこから?
それは天と地から。
マンガの世界のようだが、体を十分にゆるめ静かに立禅を行っていると
体内にパワーがどんどん入ってくるのがわかる。
太極拳はこの力を使う。

次に「練る」。
うどんも、そばも、パンでも練れば練る程強くなる。
氣も同じ。
練れば練る程強くなる。

最後のその氣を「発する」。
氣を発する時は力を使ってはいけない。
氣は力を使おうとすると弱まり、力を弱めようとすると強くなる。
筋力と勁力は反比例するのだ。

太極拳がおもしろいのは筋力ではなく勁力を使うところ。
腕相撲が強い人は太極拳の推手で勝てない。
力で押そうとしたり、スピードで倒そうとしたりしても、
スルリとかわされ、空を打つことになる。
これを化勁という。

さて、
今回話したかったのは、邪気を払うこととパワーを得ること。
当会ではまず抜筋骨から始める。
体をゆるゆるにし、邪気を払う。
邪気を払わなければパワーは得られない。

次にパワーを集め蓄える。
十分パワーが溜まると、自分の体がエネルギーに満ちた発光体のような感覚が得られる。
これが抜筋骨と立禅で得られること。

八卦掌で行う走圏も同じ。
左周りに歩くと邪気を払うことが出来る。
心の痛み、辛さ、ストレス、
体の痛み、倦怠感などを
左回りに歩くことで取り除くことができる。

逆に右回りに歩くと今度はパワーを集めることができる。
天と地のパワーだ。
ゆっくりぐるぐる回っているだけで、心が元気になり体が元気になる。
嘘だと思うならやってみよう。

八卦掌で回るのは相手をかく乱したり、後に回り込んだり、
攻撃を避けたり、不意打ち攻撃を加えたりするためだけではない。
八卦掌そのものが気功であるということ。

こんなふうに当会では、演武の美しさばかりを追求するのではなく
悪いものを払い、良いものを取り込むための行として太極拳を始めとする内家拳の練習を行っている。

これは太極拳愛好家に限ったことではなく
万人が望んでいることだと思う。