太極拳を行うために筋トレを行う教室があるようだが、
私が教わってきた伝統太極拳で筋トレを行ったことは今まで一度もない。
そもそも何のための筋トレなのだろう?
套路を練ることそのものが筋トレであり、
套路のために筋トレを行うことは、筋トレのために筋トレをするようなもの。
腕立て伏せや腹筋、
バーベル上げ等。
その筋肉を一体何に使うのだろうか?
力では敵わない敵から身を守るために生まれた太極拳であるのに
筋力を鍛えることは全く真逆の鍛錬法である。
もしそれが、少林拳や査拳などの筋力で戦う外家拳であればわかる。
しかし太極拳では筋トレを行うべきではない。
筋力を鍛えれば筋力を頼ることになり、
逆に勁力を鍛えていくことができなくなるからだ。
私は簡化太極拳より伝統太極拳をすすめている。
理由は伝統太極拳には太極拳に必要な鍛錬すべてが含まれているからだ。
簡化太極拳は伝統楊式太極拳のダイジェスト版のようなものであり本編ではない。
だから現在簡化太極拳を練習されている方は、
そのルーツである伝統楊式太極拳を習得することをすすめる。
そうすることで初めて太極拳の本当の意義を知ることになる。
話を戻す。
結論として太極拳を始めるならば伝統太極拳を行うべき。
先程も述べたが、伝統太極拳には太極拳のすべてが詰まっているからである。
筋トレを行ってはならない。
筋力に頼る動きをして本物の太極拳には決してなり得ない。
コアを鍛えることもできない。
無駄に筋肉をつけると経絡を詰まらせ気の通りを阻害する。
それに過剰な筋トレは体内の活性酸素を増加させ老化を促進させる。
活性酸素は肌のハリ艶にも影響し、肌荒れやしわを増加させる原因になる。
長寿である仙人でムキムキの人をみたことがない。
私に伝統太極拳を教えてくださった先生方は
体格も小柄でやせ細っているのに想像を絶するパワーを持っておられる。
そのパワーは筋トレやストレッチで得られるものではない。
もう頭で考える太極拳をするのはよそう。
太極拳は理屈ではない。
じっくり時間をかけて伝統套路を通して行けば、
それによって得られるものを自然と知ることができる。