昨日の教室で最近入会された方の歳を尋ねると70歳とのこと。
また、現在80歳の方もおられる。
どちらも男性である。
20代の方も80代の方も男女問わず一緒に気功を行い、
太極拳で型を練り、
推手を行い、
散手を行っている。
因みに推手とは太極拳の最も基本的な技術を身につけるための二人で行う太極拳で
散手とはいわゆる技の練習のこと。
この20代も80代も一緒になって
推手や散手で対練が出来るのが太極拳のおもしろさだと思う。
例えば、腕相撲なら高齢者は若い人に敵わないだろう。
しかし推手となると話は違う。
なぜなら力を使う方が不利になるからだ。
もし相手が太極拳初心者なら力で勝つことができる。
しかし伝統の太極拳を幾年か嗜んでいる人なら、素早い突きもことごとくいなされてしまうだろう。
太極拳で大事なことは、
力を抜くこと。
そして柔らかくなること。
女性や高齢者に太極拳が向いていることが頷ける。
私が太極拳を始めたばかりの時、
どうやらガチガチだったようで、まずそのことを先輩から指摘された。
太極拳は見た目も闘うというより、まるで踊っているかのように見えるのに、
さらに力を抜くようにと教えられたことが私にとっては驚きだった。
「これで一体どうやって戦うんだ?」と。
実際、先生に技を掛けられると、空を打たされ宙を舞うことになる。
もう、これまで何度も書いてきたことだが、
私が太極拳に対し強烈な興味を持ったのはこのことが大きい。
弱そうに見えるのに強い。
カッコいい。
太極拳は50歳からと先輩に教わったが、
実際50半ばになってみてその意味がようやくわかってきた。
良く言えば力が抜けてきたということになるが
いわゆる体を動かすことがめんどくさくなっているということ。
かつて喧嘩っ早かった自分が今は喧嘩するのもめんどくさい。
パワーが有り余ってるから遠回りばかりしていた自分が
今ではいかにラクにできるかと考える。
余計なことに気を取られることなく、
必要なことだけに目を向けられるようになったとも言えるだろうか。
太極拳で散手を行う時も早くて華麗な技よりも、
ほとんど動かないで相手を崩す方法を選んでしまう。
先日、ある人に下勢(かせい)の使い方を聞かれたので、やって見せたが、
正直言うと面倒だった・・(苦笑)
しゃがんで、立ち上がって蹴るなんていう大技は力ある若い人に任せて、
私はラクをして相手を崩せる単鞭(たんべん)や提手上勢(ていしゅじょうせい)などを最近好んでる。
こんなことを言うと、
まるで練習せずにラクして強くなりたいと思ってるように思われるかもしれないが、
そうではない。
ラクに技を掛けられるようにするためには地味な練習が必要。
それが立禅であったり、基本功であったり。
特に私の中では立禅は最高に楽しい。
ただ立つだけの鍛錬だが、得られることは実に多い。
動いている時には気づけないことに気づくことができる。
先程、立禅を行いながら思ったことは、
「これだけでもいいのでは?」ということだった。
その意味を話すと長くなりそうなので、ひとまず今回はこの辺で。