踵脚(太極拳の蹴り動作)の時、
上げている方の脚が実なのか虚なのか考えてことがあるだろうか?
踵脚の時、上げている方の脚が虚であり、
片足で支えている方の脚が実である。
虚実でいうならば、意識しなければならないのはどちらかといえば実の方。
もっと正確に言えば、実を意識してから虚に行く。
しかし脚を上げる時9割がた以上の人が虚の方に意識が向いてしまう。
※実とは意識が向いている状態や重い状態のことであり、虚とは空とか無の状態で、重さでいえば軽い状態。
エレベーターが上がる時は実は下がっている。
一番上に滑車がついていて、エレベーターが上がる時、錘が下に降りているのである。
エスカレーターも同じ。
昇りのエスカレーターは降りている。
見えていないだけで、昇っているステップの下で降りている。
ロケットは上に上がるが、上に引っ張っているのではない。
ロケットエンジンを下方向に噴射して、それによってロケットが上がる。
つまりロケットは下方向へ力が働くことによって宇宙まで飛び立つことができるのである。
観覧車は上からの景色を眺めたいから乗るものだが、
観覧車は昇ると同時に降りている。
当り前といえば当たり前のことなんだが、
なぜか踵脚になると、ほとんどの人が上げる脚の方ばかりに気がいってしまう。
例えばバスケットボールを床に打ちつけると跳ねかえって上がる。
シュートする時ジャンプするが、ジャンプするためには下方向へ力を加えねば上がることはできない。
何が言いたいか?
つまり踵脚などで脚を上げるということは、
脚を下ろすということ。
そう、実の脚(片足で支えている方の脚)に。
脚を上げようとするのは間違い。
脚を上げるのではなく実の脚に全体重を落とす。
それによる気の跳ね返りで脚が上がる。
上げようと思ったらダメってこと。
数々の例を出したが、上がるためには下への力(沈む力)が絶対必要。
これからは上げる方の脚ではなく、
十分脱力して支えている側の足裏に意識を向けてみよう。
そうすると全身の重さが足裏に落ち、それが地面から跳ね返ってくる。
その結果脚が上がる。
上げるのではなく
ゆるめて沈む。
今日から意識して套路を練ってみよう。