2018年12月15日土曜日

使えない技

氣を用いて闘う武術を内家拳と呼んでいるが、
その中でも私がウエイト置いているのが楊式太極拳。

まるでゆっくりと舞っているかのような太極拳だが、
その技の威力を知れば知る程恐ろしく、
決して使えない、
使ってはならない技であることがわかってくる。

タイトルを「使えない技」としたが、
その威力が大き過ぎるだけに使ってはならないということ。

始めばかりの頃はその技を知りたくていろいろ研究したが、
研究するためには相手がいなくてはできない。

最初は力の出し方がわからないから、
それはまるで子供のプロレスごっこのようなものだった。

しかし、ある時から徐々に力(勁)の出し方がわかってきて、
何度か相手になってもらった人を思いっきり吹っ飛ばしてしまい
危うく大怪我させてしまうところだった。

その時は小さな怪我で済んでよかったが、
下手をすれば命の危険につながる可能性も少なからずあったということ。
その頃から私は本気で楊式太極拳の技をかけることを完全封印した。

最近ではDVDや動画サイトでも太極拳の技の用法が紹介されているが、
双方で十分な打ち合わせをした上に、安全性を配慮し行っているはずだし
危険な技はそのまま出来ないから相手役に演技をしてもらわないといけないこともあるだろう。

そもそも何の技をかけられるか解っていれば相手役もそれに備えることができるし、
受け身を使うこともできる。

だから、
本当の楊式太極拳の恐ろしさは決して見せることはできないということ。

その力は相手の攻撃の威力が大きければ大きいほど相手へのダメージも大きくなる。
全速力で走って壁に頭をぶつけたらどうなるだろう?
打ち所が悪ければ即死だろう。

それほど恐ろしい技を身につけて一体何になるのか?
今まで何度も思ったことがある。

しかしその使わない技を使えるようになるための鍛錬は非常に奥が深く、
普通のトレーニングでは決して身につけない、筋力や不思議な力を身につけることができる。
そしてそれは健康や治療に役立てることができる。

それに、アメリカでは護身のために銃を所持することが許されているが
日本では猟銃以外は所持することは許されていない。
仮に銃が持てなくともナイフはいくらでも手に入る。

そんなものを突き付けられたり、
銃口を向けられたらどうすればいいだろう?
警察を呼んでも間に合わないし、逃げることもできなかったら?

そんな場面に出くわす確率は極めて低いだろうが、
私は今まで危険な目に遭ったことが何度もある。

ある時は半狂乱の男にいきなりビール瓶で殴られその場で気絶。
救急車で運ばれ何針か縫うことに。

他にも暴力団に絡まれたり、
複数の若い男たちに囲まれ袋叩きにされたり。
酔っ払いに絡まれ喧嘩を売られたり・・

最近では夜の繁華街に出ることはほとんどないのでそのような目に遭うこともなくなったが、
少なからずともそういう可能性はゼロではないということ。

刃物を持って刺されそうになったら?
無差別殺人のように、その場でその殺人犯を抑えなければ、
罪もない人たちが次々に殺されることだって考えられる。

だから、
使えない技(使っていはいけない技)を使えるようにしておく必要はあると思う。
警察が拳銃を携帯するように、
一般人も自分で自分の身を守る手段が必要だということ。

そして一生その技を使うことがないことを祈るばかり。