大河の流れの如く。
楊式太極拳ではこのように例えられることが多いです。
他にも
繭の糸紡ぐように。(引き出すように)
金魚をすくうように。
などの表現を使い指導していますが、毎回こんな風に伝えても実際やるとなるとなかなか難しいようです。
「頭ではわかってるけど体が言うことをきいてくれない」
よく聞きく言葉です。
実はこの言葉の中に答えがあります。
いわゆる頭で動こうとするからうまくいかないのです。
体に気が流れ、勁(ちから)生み出させる根源は「心」です。
だからどんなに考えても無理なのです。
もっと言えば考えてはいけないのです。
頭を空っぽにし、心に聞きます。
心の状態が安定していなければ連綿と動くことはできません。
逆を言えば心を鍛えるために体をゆっくり動かしているのです。
人間の行動は心が支配しています。
心の状態が大切ということになります。
指導中、落ち込んだり、自分を責めたり、イライラしたり、ムッとする人をその場で叱ります。
そんな心の状態ではうまくいくものもうまくいかなくなるからです。
今出来ないのは当り前なのです。
そしてうまく行かない時はこう考えて欲しいです。
「うまく行かない方法が解った」と。
うまくなるためには、うまくいかないことをたくさん知ることが絶対必要です。
私自身も常に新しいことに挑戦していますが、出来ないことで落ち込むことはありません。
落ち込んでいる時間がもったいないからです。
常に「今は出来ない」「ならどうすれば出来るようになるか?」
そう考えるだけです。
話を戻します。
楊式太極拳に求められる、大河の流れのような動きは、心の状態をそうすることが大事です。
荒波を立ててはいけません。
1/f ゆらぎをご存じでしょうか?
自然界にあるゆらぎです。
川のせせらぎ、風に揺れる草や木の枝、雨音、蝋燭の炎、などのゆらぎです。
このゆらぎは心をとても安定させる力があります。
いわば心を安定させる力は自然界にいくらでもあるということです。
ということは自然と一体化することが、最強の力を得ることなのかもしれませんね。
心を豊かに安定させるためにも、自然界のゆらぎのように途切れることなくゆっくり動いてみましょう。
この行いは自己開発や自己変革ともとれますが、
いわば心のルネッサンス(再生)であると私は思っています。