2016年8月4日木曜日

静かな太極拳と形意拳

当会で行っている太極拳は楊式太極拳。
そして形意拳は河北派形意拳。

意外な共通点をみつけた。

そもそも楊式太極拳のルーツは陳式太極拳。
動きも派手で、楊式太極拳の次に愛好家も多い。

陳式太極拳に関しては私はほんのかじった程度だが、
動きがダイナミックな上に発勁動作が明勁なので、動きが派手でカッコイイ。

一方、楊式太極拳に明勁はなく、すべてそれらを中に入れ暗勁とした。
(簡単に説明すると明勁とは明らかに打つと解る発勁動作で暗勁とは打つことが解らない発勁動作)

いずれも、暗勁にした理由は楊式太極拳の創始者である楊露禅が無敵の太極拳をつくろうと考えたことが始まりだと思われる。

先程も言ったが陳式の動きは派手でダイナミック。
特に二路(陳式には一路と二路の2種類の套路がある)は長拳や少林拳を彷彿させるような大きく素早く力強い動き。
ところが楊式はとても武術とは思えないほどゆっくりと柔らかい動き。
ここがとても重要。

楊露禅が考えたことは、「技を見せない」ということなのではないかと。

実際、師匠がすっと近づいて来ても何の警戒心も働かない。
近づいてきたことすら気が付かないこともある。
しかし次の瞬間、吹っ飛ばされたり、床に叩きつけられたり、腹に気を打ちこまれたりする。
これが楊式太極拳の怖さ。

一方、形意拳だが、
山西派から派生したのが河北派。
いわゆる河北派のルーツは山西派ということになる。

こちらも山西派が「動」なら河北派は「静」という感じで、風格にかなりの違いがある。
見栄えは山西派の方が派手でカッコイイ。
一方、河北派はシンプルで動きも静か。

この静かな形意拳である河北派形意拳。
楊式太極拳に通じるものがある。

山西派の発勁動作が明勁に対し、河北派はどちらかというと暗勁。

見た目は本当に戦っているのか?と思うほど力強さを感じない。
これが怖い。

河北派の跟歩は前足で踏ん張ることはしない。
自分の体をただ相手に近づけるよう進むだけ。
そして拳を打ち出すことはせず、前にすーっと出すような動き。

しかしその破壊力は計り知れない。

私はこの静かな河北派形意拳に楊式太極拳同様、強烈な興味を抱かざるを得ない。
強くなさそうなもののほうが怖いからだ。