推手の上達法というタイトルにしたが、
私はそれを具体的に教わったことがない。
あるとすれば、
上級者にたくさん崩されることだろうか。
そして、崩されたことに感謝すること。
私は師に崩されたり飛ばされたりするため
武者修行のため約550キロ先まで稽古に通っている。
少なくとも私は10年間ずっと崩され続けてきた。
崩されることにより師は何が良くないかを教えてくださる。
だから崩されなければ推手は決して上達できない。
そもそも勝つことだけを考えるなら、
内家拳には向かないと思う。
内家拳修行者は禅によって*煩悩(ぼんのう)を捨てる修行をする。
勝とうと思うこと事態が煩悩なのだ。
*煩悩=心をかきみだす妄念や欲望のこと
崩されたことに腹を立てない。
対抗しようとしない。
そもそも、この精神状態そのものが既に負けている。
こんな気持ちで推手をしたら、力任せの推手になってしまい、
もはやそれは推手とは言わない。
もし上級者相手に腹を立て思いきり打ちこんでみたらわかる。
気が付けば自分が崩され飛ばされることになるだろう。
こんなことをいつも言ってるのだが
未だに腹を立て対抗しようとする方がおられる。
私は先日、稽古中に冗談のように「仏の心で」と言ってみた。
皆笑っていたが、実は冗談ではない。
仏様は人様に腹を立てたり、仕返しをしようとしたりなどなさらない。
あるがままに受け入れる。
これこそが仏の心。
太極拳を修行すること
是即ち心を修行すること。