地球には引力がある。
当然、地球の裏側も同じように地球の中心に向かって引力がある。
もし地球が月のように引力が弱かったら、
歩いたり跳んだりするのにラクだから良さそうに感じるだろうが
恐らく太極拳はできないだろうと思う。
なぜなら太極拳は地球の引力を最大限に利用した武術だからである。
沈むからこそ発することができる。
もし引力のないところで人を突けば自分も後ろに吹っ飛んでしまうだろう。
二人で太極拳の技を掛けあうとき、相手に負けまいとすると力が生ずる。
力が生ずると体は固くなり、その状態で相手に攻撃を加えようとしたら
太極拳にとっては格好の獲物になる。
力を使うこと自体が引力に逆らおうとしている。
一方、太極拳は脱力して引力を最大限に生かそうとする。
「人間の力VS地球の力」ということになる。
逆に太極拳にとってもっとも苦手な相手は脱力して柔らかい相手。
技の掛けようがない。
というより太極拳の武術を長年行ってきた者が人を襲うことはあり得ない。
修行とは悪を払い善を引き寄せる行いだからだ。
話を戻すが、
脱力すればするほど、引力を感じる。
地球を感じる。
そしてあたかも自分が地球の一部になったような感覚になる。
いわゆる、人は引力を自在にコントロールできるということ。
力を使えば引力を弱くできるし、
力を抜けば引力を強くすることができる。
太極拳では相手の攻撃に対し対抗しようとすることはしない。
逆に受け入れる。
映画「少林サッカー」や「カンフーパンダ2」でも、
相手の猛烈な攻撃に対し最後に逆転できた技は太極拳の化勁だった。
闘おうとしない。
受け入れる。
引力に逆らおうとしない。
受け入れる。
こうすることで太極拳の意味がわかってくると思う。
(まだわかりかけたばかりだが)
無駄な力を抜くことで感じる引力は、人をも変える。
地球は、まるで大きな磁石のように人間や物質を引き寄せてるが、
それと同化することで自分にも引き寄せる力が働いてくる。
これがリラックスすることの大事さだろうか。