来月10日に、当会では3度目の検定試験を行う。
1回目、2回目に比べ受験者は減ったものの、
それぞれ皆の意識が高まり、それに伴い確実に実力が上がっているのがわかる。
太極拳では体を十分ゆるめリラックスすることが大事だが、
師からは脱力だけではなく緊張することも大事だと教わった。
確かに緊張を味方につければ普段以上の力を出すことができる。
このことは武術に限らず様々な分野で経験してきた。
試験を受けようとすることで変わる意識は、やはり自分に厳しくなることだろうか。
弱点を放置せず徹底的に克服しようとする。
それに集中力が高まる。
人間集中すれば高い能力を発揮することができる。
試験という目標を決めることで自分の能力を最大限に引き出すことができる。
いわゆる「やればできる」ということ。
やれば出来るのにやらないのは実に勿体ない。
上を目指す人にとっては時間を大幅に節約することができる。
普段なら何度教えても出来ないことが、その場で出来たりする。
これは教える立場としてはとても嬉しいこと。
私は皆とやりたいことが山ほどある。
あれも、
これも、
一緒にやりたいと。
だが、今やっていることをほったらかしにして先に進むわけにもいかない。
先生自身が今やりたいことを生徒にやらせるのはそれは先生のエゴでしかない。
逆に生徒のやりたがることを自由にやらせるのもエゴ。
やさしい先生と思われたい。
自分も生徒も信じることが出来ない。
私の中ではそれは先生失格。
本当のやさしさは生徒の言いなりになることではない。
本気で生徒のことを思うならば
正しい武術を身につけてもらうため、
足元からしっかり固めるための地味な稽古を指導することになると思う。
基礎も出来ておらず浮足立った状態で套路ばかり覚えても
それはカッコだけの演武に過ぎず、技も氣も練ることができない。
だから、早くここまで来てくれと心の中で叫んでいる。
近づいてきてくれることは、私にとっての喜びでもあるから。