2022年4月5日火曜日

一を極める

昨日は、午前普通クラス、午後は個人レッスン、夜間双辺太極拳クラスでした。

普通クラスで行っているのは伝統楊式太極拳。
当会で一番盛り上がるのは散手(技の用法)の時間です。
今回は如封似閉(にょふうじへい)をやりました。

毎月1回、和歌山から熱心に通ってるTさん、
今日は午後からの個人レッスンで抜き打ち気功テストを行ったところ、なんと仮合格。
いわゆる合格点でした。

話を聞くと、自分が教えている教室でこの気功を取り入れているとのこと。
制定拳の教室に気功を取り入れるというスタイル、
とてもいいと思います。

そんなTさんがこんなことを言いました。
「先生、陳式もされればいいのに」と。
私は即座に答えました。
「楊式以外やるつもりはない」と。

Tさんは軽い気持ちで言ったのでしょうが、
私にとって楊式太極拳は命です。

今やっている武術に何の迷いもありません。
目標もあるし、生涯掛けて成し遂げたいこともあります。

師との絆も大切にしたいです。
それだけのことを私に授けて下さったし、
師の意向に反することなど決して出来ません。

そもそも套路のレパートリーを増やすことに興味がありません。

套路をコレクションのように集めるのも愛好家の皆さんの楽しみのひとつだと思いますが、
私は広く浅くやるより一つを極めたいです。

八極拳の名人、李書文の言葉に
「千招知るを恐れず、一招知るを恐れよ」という有名な言葉があります。
「多くの技を身に付けるより、ひとつの優れた技を極めよ」という意味になりますが、私はこの考えがとても好きです。

過去に「太極拳の全流派を覚えて教えたらどうですか?」と言ってきた拳友もいましたが、その場で「興味ない」と一蹴しました。
陽式ですらまだ極めていないのに、あれこれ手を出してしまったら目標達成が遠のくだけです。

おそらく陽式太極拳を一つの套路として勘定しているのでしょうが、
私が知っているだけでも、陽式太極拳には5つの古い套路があります。

それに、刀、剣、棍、槍などの武器法。
徒手の対打套路では九十式の技があります。

他にも発勁法、化勁法だけでも何十種類とあり、
それだけの勁が使える人がどれだけいるでしょう?
おそらく1000人に一人もいないのではないかと思います。

20年掛かってもこれらをまだすべて修得出来ていないのに、
とてもではないですが、他流の套路を覚えている時間などありません。

一つを極める。

私が生徒の立場なら、このような先生について学びたいです。

今の師につき一生修行したいと思っているのはこのような理由からです。