「手が触れる圧は30グラム」
稽古で推手を行う時、いつも言うことです。
もっと言えば0グラムの時もあれば2000グラム以上の時もあります。
条件は一切力を入れないこと。
太極拳の技はこの0~30グラムから生まれます。
私の場合、楊式推手の場合は10グラムぐらいを保つように意識しています。
10グラムは100円玉2個ぐらいの重さです。
「この重さで相手を崩すことができるか?」と言うことを常に考えています。
自転車のハンドルを握る時。
車のハンドルを握る時。
傘を持つとき。
スマホを持つとき。
ドアを開ける時。
エレベーターのスイッチを押す時。
ドライヤーを持つ時。
歯磨きをする時。
あげだしたらキリがありませんが、
こういうった時でも常に最小限の力を使って扱おうと意識します。
私は武術オタクではありません。
同じオタクでも伝統オタクです。
今年還暦になる私ですが
この歳になってくると派手なアクションより地味なアクションを好むようになります。
しんどいことはしたくない。
だからいかに力を使わず、
息を乱すことなく
動くことができるか?
ということを常に意識して生活しています。
練習時間がない。
本当にそうでしょうか?
武術家達は生活そのものが鍛錬であり、
生きることそのものが修行だと考えます。
話を戻します。
推手の時、手が触れる圧は30グラムと言いましたが、
双辺太極拳の時は違います。
恐らく相手には2キロいや、
5キロ以上に感じているのではないでしょうか?
相手は重さに対し体を支えきれず崩れていきます。
力は入れません。
それを証明するために私は袖をまくって腕に力が入っていないことを見せます。
前腕は筋張っておらず、力こぶしはふにゃふにゃ。
この違いは「何を意識するか?」です。
意識次第で自分の体を変幻自在に変えることが出来るようになります。
かくいう私も道半ば。
この世界は面白すぎるので
死ぬまで修行をやめられないと思います。