2023年5月9日火曜日

丹田の張りとは?

先日の稽古で、
「動こうとすると丹田の張りを感じる」という話をしていたら、
ある会員さんに「実際は体のどこなんですか?」と聞かれた。

私は「体の部分で言えば腸になるけど、丹田は丹田なんです」と答えた。

そう、丹田は丹田なのです。

丹田とはエネルギーが集まる場所。

磁力や電気が見えないようにエネルギーは目に見えない。
だから「どこ」と言われても、困ってしまう。

一般的な言葉で言えば「腹式呼吸」があるが、
腹式呼吸はお腹で呼吸すると説明されます。
この時に「腸」とイメージするでしょうか?
なんとなくお腹に空気を溜めるイメージをすると思います。

長年、気功と太極拳を鍛錬していると、お腹に張りを感じるようになります。
食べ過ぎて感じる張りとは違います。

とくに太極拳で使う力(勁:けい)はすべて丹田から発する力です。

突こうとすると丹田が膨らむ。
逆に突かれても丹田が膨らむ。

膨らむと言っても膨らみっぱなしではなく、
ゴムまりのようにパンパンの感じ。
いわゆる膨らむ力と縮む力が同時に働いて丹田に張りを感じるようになります。

先日ある体験に来られた方に腹を思いっきり拳で打ってもらいました。
丹田が出来てくるとどうなるかというのを知ってもらうためです。
丹田ができてくると思いっきり腹を打たれても全く痛くありません。

普通なら腹を思いきり打たれるとなると腹筋に力を入れるでしょう。
しかし内家拳では腹筋は使いません。

長年内家拳をやってると腹筋の力の入れ方する忘れてしまいます。
力を入れる必要がないからです。

因みに太極拳では8つの力(勁)を使います。
これを太極八法といいます。

最近、制定拳で実践されている太極八法五歩とは違います。
名称こそ本格的ですが、この型を覚えたからといって八法が使えるようになるわけではありません。(あえて断言します)
八法を会得するには勁を使える師に付き、長期間鍛錬を積む必要があります。

八法は・・
掤(ほう)、履(り)、擠(せい)、按(あん)、採(さい)、挒(れつ)、肘(ちゅう)、靠(こう)から成り、

掤は膨らむ力
履は溶かす力
擠は弾く力
按は圧する力
採は制する力
挒は切る力
肘は打つ力
靠は飛ばす力

(簡単に説明してますが実際言葉にするのは難しくどれもすぐにできるものでありません)

特に難しいのは掤勁(ほうけい)と挒勁(れつけい)でしょうか。

体がゴムのようになり、手は剣になる。

これぞ無敵です。

これらの勁を使う時、必ず丹田が動きます。
逆を言えば丹田による力なのです。

また、丹田だけではなく丹田が中心にあり体全体が一塊になる感覚です。
いわば丹田は気の体(エーテル体)を含めた肉体の「核」と言えるでしょう。

なので骨や筋肉を使って打つのではありません。
気(エネルギー)がゴムとなり金属となるのです。

では、仮に丹田を腸としましょう。

その腸は主にタンパク質で出来ています。
タンパク質はアミノ酸から成ります。
アミノ酸を更に細かくみていくと、分子となります。
その分子は原子によって成り立っています。
原子は原子核と電子で成り立っています。
更に原子核は核子から成ります。
核子はクオークから成ります。
物質の最小単位はアップクオークとダウンクオーク、
そしてレプトン(電子)となります。

宇宙にあるすべての物質が、この3つの量子から成ります。

これでも丹田が腸だと思いますか?

量子力学的に見れば、太陽の周りを回る地球と同じように、
原子核の周りを回る電子、いわば人間も宇宙なのです。

因みに原子核を1㎜としたら電子までの距離は約50mと言われます。
物質は詰まって見えますが実はそのほとんどが空間なのです。
宇宙にも星が無数にありますがそのほとんどが空間ですよね?

だから筋肉や骨をどれだけ細かく刻んでも丹田力の答えは見つかりません。
空気の分子を目で見ようとするようなものです。

丹田という宇宙がどんどん膨張する。
それが丹田力です。
自分の中の宇宙なら鍛錬次第でどれだけでも大きくパワーアップさせることができます。

それが丹田の張りです。