2013年11月11日月曜日

立身中正を普及させたい

最近、私のまわりで腰痛や膝の痛みを訴える人が多くなった。
私はどちらも経験しているし、その克服法も太極拳を通じて知ることが出来た。

結論から言えば、腰をまっすぐにすれば腰痛は起きえないと言いたい。

腰椎が引力に逆らうことなく、まっすぐな状態であれば椎間板も安定した状態を維持できる。
しかし、背中を反らせてしまうと背中側の椎間板を圧迫することになる。
若いうちは椎間板もしっかりしているが、高齢になってくると弱ってくるので圧迫することで椎間板がつぶれたり、飛び出したりしてしまう。
これは巷で有名なグルコサミンやコンドロイチンを積極的に摂取することで椎間板を強くすることができる。

ところで、もしスカイツリーが少しでも傾いたらどうだろう?
傾いた側の柱に負担がかかるはずだ。
地球には引力がある。
その引力に従って、傾いている方に倒れようとする。
そして柱が負担に耐え切れなくなったら倒壊することになる。
人間の背骨も同じ。

だから、私はサークルでうるさいほど背筋をまっすぐにしなさいと言う。
それは単に太極拳の演武がきれいに見えるからだけではなく、健康法として大変優れているから。

しかし間違った姿勢で太極拳を続けると健康どころか健康を害してしまう。
そうなると太極拳ではなくなってしまう。

なぜなら、姿勢をまっすぐにすることは単に健康法として優れているだけでなく、
武術的にも勁力を出しやすい状態だからだ。

先日、仲間とミットを使ってある実験をした。
まず、腕力で掌を打ち込んでもらう。
次に、立身中正で打ち込んでもらう。
その衝撃は圧倒的に立身中正のほうが大きかった。
私の体感では5倍以上の衝撃があった。

突っ立ったまま突いているのに、なぜパワーが増すんだろう?
多分、引力を生かしているからだと思う。
引力に逆らわず、沈む力と突く力が合わさると破壊力が増すということらしい。

姿勢を正すことは、健康法として優れ、演舞も美しく見せ、そして武術的にも破壊力を増す。

尻をひっこめるとか、クワを入れるとか、その前にまっすぐになることが大事だと思う。
そのまっすぐの状態で突いたり引いたりしようとすれば自然と尻はひっこむし、クワも入る。
重いものを押したり、重いものを引っ張ったりしようとすれば武術的に正しい姿勢になるのだ。

先日、自宅マンションの前で車が溝にはまってしまっていたので、私ともうひとりの男性でその車を溝から持ち上げた。
その時の姿勢は決して尻が出た状態ではない。
尻が出た状態では力が入らない。
無論、クワが出ている状態でも力は入らない。
「どうすれば重いものが持ち上がるか」と自分の体に問いかければ自ずと答えは出てくるということだ。

姿勢を正すということに関しては、今まで間違って教えてこられた。
背筋を反らすことが良いことだと教え込まれた。
「きをつけ!」と言われると自然と腰を反らした姿勢になる。
これは間違っているのだ。

家事をする時も、椅子に座っている時も、電車に乗ってる時も、車を運転している時も、背筋をまっすぐにして欲しいと思う。
なにを隠そう、私自身が30年近く患った腰痛を克服した方法は、薬でもなく手術でもなく、単に背筋をまっすぐにするだけだったからだ。