昨日、個人レッスンの指導に向かうためにバイクを走らせた。
間もなく現地に到着というところで、
2台前に走っていたトラックが方向指示器を出さず徐行し始めたので
停車するのかと判断し、反対車線に対向車がないことを確認し追い越そうとした瞬間、
トラックは方向指示器を出さずいきなり右へ横断。
完全に通行を遮られる形になり、
私は衝突を避けるために咄嗟にブレーキ。
しかしホイールベースが長い割にタイヤの小さいビッグスクーター。
さほどスピードが出ていなくとも急ブレーキをかけるとすぐにタイヤがロックし横倒れになりスピンする。
私はバイクから放り出され、頭を含め全身を強く打った。
痛みのあまりにしばらくそこから動けなくなり、意識朦朧状態。
近くにいた人がすぐに警察と救急車を呼んでくれた。
そのまま救急車で最寄りの病院に運ばれる。
さっそく傷の手当と採血、そしてCTスキャン、レントゲン。
体の各部を強く打ち、傷による出血。
左大腿骨上部は血種によって大きく腫れていた。
検査結果は肋骨骨折と外傷性気胸とのこと。
いわゆる肋骨が折れてそれが肺に突き刺さり、
穴が開いたところから空気が漏れるといった症状である。
悪化すると空気がどんどん外に溜まり、
その空気が肺を圧迫し肺が潰れてしまうという恐ろしい病気。
体を動かそうとしたり、息をしようとすると胸に激痛が走る。
病院に運ばれてようやく軽傷ではなかったことに気付く。
いずれも不幸中の幸い。
もしあのままトラックに衝突していれば命はなかったかもしれない。
そう思えば傷は軽く済んだと思えた。
いずれも医師の指示により絶対安静と言うことで
このまま入院し明日また再検査とのことだった。
私は車椅子に乗せられ病室へと向かう。
病室に入ってしばらくすると二番弟子が心配して駆けつけてくれた。
入門したばかりの頃は「また厄介なのが入ってきたな」と思ったものだが、
彼の良いところは自分の悪いところをすぐに直そうとするところ。
今では熱心に修行に励み、私のことをとても慕ってくれ、いろいろと世話もしてくれる。
とにかく見舞いに来てくれたことがすごく嬉しかった。
事故は怪我だけでなく心の傷も残る。
しかし弟子の顔を見てずいぶん気持ちも和らいだ。
しばらくして弟子が帰り、ベッドに横たわるとまたもや胸に激痛。
しかも肺から空気が漏れるような音が聞こえる。
看護師さんにベッドをリクライニングのように上げてくれ、
半分座るような形で寝ることになった。
消灯時間過ぎても痛みでなかなか寝付けない。
ベッドの上で身動きとれない自分が情けなくて仕方なかった。
この時一番に思ったことは「歩きたい」だった。
このところ毎日、歩く鍛錬を行っていたので、体がそれを欲しがってならない。
おいしいものを食べたいとか、
どこかに行きたいとかではなく
自分の一番したいことが「歩く」ことだった。
とにかく今の願望は一日も体を早く治して、歩く鍛錬を行いたい。
それにしても最近トラブル続き。
サークル内での人間関係の縺れや退会者の続出。
一人二人ではなく何人も立て続けだと流石に滅入る。
何故、あれほど頑張っていた人達が太極拳を途中で辞め、
私や仲間達から去ってしまうのか?
一人一人の将来をとても楽しみにしていただけに、とにかく残念でならなかった。
そして、そのとどめを刺すかのように今回の人身事故。
踏んだり蹴ったりとはこのことを言うのだろう。
しかし、今回のことは良い兆候として私は考えている。
丁度20年前だろうか?
以前にも同じことがあったからだ。
今とは違い、その時はあるビジネスで頑張っていた時だったが
何人もの仲間に裏切られ、そのとどめが高速道路の交通事故。
死んでいてもおかしくなかったほどで、新聞でも取り上げられたほどの大事故だった。
上を目指すと必ず起きること。
それは様々な障害。
何もしなければ起きないこと。
しかし活発に動いているとあらゆるトラブルに巻き込まれる。
これは上に行くための修練であり、ここで挫折したら終わりと言うこと。
試されているわけだ。
その中でも交通事故は最高の代償と言われる。
自分が大きくなるためにはそれなりの代償を払わねばならない。
だから今回の交通事故は起きるべくして起きたと思っている。
私が死にかけたのはこれで3度目。
今は体のあちこちがまだ痛いが
これが治った頃には私は大きく変わっているように思う。
そして今したいこと。
武術修行。
どんな辛い修行でも死ぬことにくらべたらかすり傷。
今回のことで私は間違いなく目標に向かって確実に階段を上っていると確信した。