2013年10月6日日曜日

脇に卵を挟むように

前に就いていた先生が口癖のように仰った。
脇に生卵を挟んでいると思って脇にゆとりをつくりなさいと。
脇を閉めると卵は割れてしまい、緩め過ぎると今度は卵は下に落ちてしまい、やはり割れてしまう。

そして、今習っている老師にも同じことを言われた。
やはり脇にゆとりをつくりなさいと。

ひとまず、脇にゆとりをつくることは分かった。
しかし、なぜなんだろう?

それで、鏡の前で、脇をギュッと閉めた状態と、
卵一個分開けるよう脇にゆとりをもって構えてみた。

答えはすぐにわかった。
脇を締め付けると胸が前に突き出て、逆に脇を緩めると胸が引っ込む。

要するに後者は太極拳で重要な含胸抜背(がんきょうばっぱい)の状態になる。

あと、形意拳での崩拳の引手に関しても同じだ。
脇を閉めてはいけない。
その時先生は理由を教えてくださったのだが、意味が分からなかった。
肝臓がどうとか言っていた気がしたが。。

因みに長拳や空手なら引手は比較的脇を閉めた状態で構える。(と思った)
その方が拳を突き出した時にまっすぐ突くことができる。

しかし、崩拳の場合、脇を緩めなくてはいけないのは何故だろう?
仲間に尋ねたら、肩甲骨を圧迫して勁力を出しにくくなるからでは?と言っていた。

言われてみれば脇を閉めると肩が緊張した状態になり、勁力が伝わりにくくなるような気がする。

まあ、頭の中でアレコレ考えても仕方ない。
ひとまず崩拳を突く時の構えは脇を開ける。
これでひたすら練習する。
そして、今度は脇を閉めて突いてみる。
恐らくそれによって答えがみつかるような気がする。

太極拳において脇をゆるめることは気の通りをよくするためと、とっさに柔軟な動きに対応するために脇をゆるめておくのだというような気がする。

楊澄甫の言葉を借りるなら、胸を突き出すとそこで気が詰まってしまい、重心が上がり、下が軽くなるとのこと。

結局、太極拳の姿勢はどこも緊張していないリラックスした状態であることがわかる。

あまりにも意識するところが多くて、何かを意識すると何かを忘れてしまうが、
ひとまずこの一週間は脇を緩め含胸抜背を意識した練習をしてみよう。