2017年6月30日金曜日
推手大会を行うにあたって
当会では今年8月に始めての推手大会を予定している。
といいつつ、どのような形で行うか今も尚、思案中なのだが。
まずは個人戦は男女混合で
単推手、双推手、四正推手の3種目
男女を分けることも考えたが、
太極拳が体格や力の差で戦う武術ではないことを考えると男女混合が自然だと。
種目として自由推手を取り入れるかどうかも悩んだか今回は見送ることにした。
いずれは自由推手も取り入れて行きたいと考えている。
他には紅白対抗試合や団体戦なども検討中。
いずれも今年は会内だけで行うため参加者数も少人数であることを考えると、
いわゆる散打試合のような緊迫した感じではなく、
推手練習会の延長のようなアットホームな雰囲気で行おうと思っている。
さて、ここでだが、
当会で行う試合を推手という形で行おうとするのには理由がある。
まずは演武を競う大会。
正直これは判定基準が難しい。
審査する側の好みもあるだろうし、何を審査基準とすべきかも難しい。
もしこの演武大会が美しさを競う大会であるならば、
当会が目指す勁力を身につける道から外れてしまう。
演じようとすること自体勁力を落としてしまうからだ。
それに美しく演じたからといって武術的な功夫が向上したことにはならない。
次に散打試合。
いわゆる自由組手。
太極拳を実戦として使えるかどうかを試すのには良いのだが、組手には怪我がつきもの。
女性が大半の当会としては怪我人を出すわけにはいかない。
そもそも当会は格闘を目的とした教室ではない。
気功と太極拳によって身につけた、ゆるみと軸感覚と勁力開発によって、
それを健康や生活向上、護身に役立てて頂きたいというもの。
結局、推手が最も適しているということになる。
推手は、いかに気功に時間をかけているか?
いかに力みのない正しい套路練習を行えているか?
推手で言う、聴勁、走勁、化勁、発勁を正しく理解できているか?
散手によって太極拳技法が正しく身についているか?
これらすべてを明確に判断することができる。
それに勝敗がはっきりしているから、判定もしやすく、本人も納得がいく。
勝てば自信につながるし、負ければいっそう努力するきっかけになる。
推手試合なら演武大会でつきものの採点への不満もない。
それに防具も必要なければ、怪我をすることもない。
安全かつ、太極拳の本当の実力を知る機会になるし、
推手を行うことによって伝統の太極拳の練習方法を深く理解するきっかけにもなる。
いずれはこの推手大会を徐々に拡大させていきたいと考えている。
それは太極拳を正しく理解することになるし、正しい練習を行うきっかけにもなる。
そのことにより病気しない丈夫な体をつくり、体丸ごと若返らせることにつながり、しかも護身術も備わる。
推手大会を行う意味は非常に深い。
ところで先程、
聴勁、走勁、化勁、発勁 という専門用語を出したが、
これを言い換えると、
聞く、許す、導く、与える となる。
聞くは相手を知ること。
許すは相手を受け入れること。
導くは相手を思いやること。
与えるは相手に知ってもらうこと。
これは真の人間関係を築くことと同じ。
自分のことばかり理解してもらおうとするのではなく
まず相手を理解しようとすること。
その機会として、許し、導き、与えるということになる。
カテゴリ:
推手
昭和38年大阪生まれ。学生時代、剣道、空手(剛柔流、極真)、旧日本陸軍の団体訓練を受ける。2002年に太極拳始めその後武術の研究を続ける。専門種目:気功、楊式太極拳、双辺太極拳、形意拳。2013年より指導を始め2020年に橿原神宮前に本部道場開設。一条伝統太極拳・綿拳内功研究会主宰